会長の海外市場に出るの一言で、すべてが・・

お前の英語、カタカナ英語で覚えていないか?

一部上場企業のM株式会社グル―プI会長は、M株式会社の創業者でもある。人材紹介業を基軸とするサービス業の上場グループ企業を一代でつくったエネルギッシュな人間である。

私は、創業後、間もないころに、まだ社長だったI氏から、私と一緒に仕事をしないか!と彼が元在籍していたT銀行から、彼にヘッドハントされたのだ。そう!I会長は、T銀行時の私の直属の上司であった。

その後、苦労を重ね、5年後の2000年の私が32歳のときに、店頭公開を果たし、2年後に二部上場市場に上場!2005年に念願の一部上場を果たした。

現在46歳の私は、上記一部上場会社M株式会社の、マーケッティング部の部長兼取締役である。

年収も1800万を超え、私立小に通う長男と私立の中高一貫校に通わせる娘の父でもある。妻は、子供たちの学校の役員を務め、ごく平凡な中流階級の生活を、謳歌していた。

2014年4月の第2週目の土曜日に、会長のI氏から、自宅に電話が入り、翌日曜日に、戸塚でゴルフをしないか!との連絡を受ける。

T銀行時代から、何か用があると、前日に必ず、ゴルフを誘うのが、彼のやり方である。今回も何か用があるのかと、二つ返事で誘いにのった。

ゴルフ場に向かう、私の運転する車中では、いつも前職の銀行の話とか、世間話とかが、多かった。会話ネタに、FM放送を聞くこともしばしばであった。

FM放送をつけると、女優の小雪さん37歳が、ゲストとして、若かりし頃の回想を、MCと相互に行う会話が、それとなく流れていた。

小雪さんが、女優として、駆け出しのころ、自分の居場所は、ここで良いのか、悩んでいるときに、心にささった曲として、シャディーのスムーズオペレーターが、紹介された。

その曲が流れているときに、会長の口から、私に向け、信じられない言葉が、発せられた。「おいっ!この曲を即興で、俺に訳してみろ」 

あまりに、突飛なこの発言のお蔭で、私は交差点の信号が、黄色から赤に変わるぎりぎりのところで、車を停止した。

シャディーがsmooth operaterと歌う場面で、私は、その英語の発音を不覚にもwho,s of betterと聞き間違えてしまった。

I社長にこのフレーズは「より良い人は、誰ですか?」という意味ですね!といった瞬間、「お前の英語、カタカナ英語で覚えていないか?

まぁーそれぐらいの人間が丁度いい!来期から海外市場に出るぞ!お前を社内公用語の英語化のプロジェクトの責任者とする。

海外事業部のT君と打ち合わせをして、社内での会話と会議はすべて英語で行う決定を今期取締役会にあげるようにしてくれ!」と淡々と私に向かって、告げたのだ。

社内公用語を英語にする?しかも、会議と社内での会話は、英語で行うなんて、私が、真っ先に会社を辞めなければならないかもしいれない!

私は、心の中でこう叫んだのであった。 「英語が嫌いで、新卒の就活で銀行を選んだのに、 なぜ私をその銀行からヘッドハントした上に、 英語の社内での公用語化の責任者に選ばれるので すか?」と青さめた口調で、私は会長に訴えた。

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「いや、前職で元上司と部下の関係なので 気軽に頼めるんだ!悪く思わないでくれ!」 と会長は私をなだめるかのように、説得して きた。

「まぁー海外事業部のT君と打ち合わせてか ら、始めてくれたまえ!これ以上今日はこの 話は、やめにして、ゴルフを楽しもう!」と 一方的にこの重大な話を切り上げられてしまっ た。

その2日後、海外事業部のTから連絡があり、打ち合わせの前に軽く飲まないか?との誘いを受ける。翌日の仕事の帰りに、Tの行きつけの渋谷のクラブで、飲むこととなった。

公開日:
最終更新日:2019/06/19