企業が英語を公用語とすることのメリット!
「企業が社内公用語を英語化する」という場合、メリットはどこにあるのか?
優秀な人材を確保できるというウソ?
社内公用語英語化によって、社員が使用する英語が、優秀な人材とされるビジネスパーソンの使用する英語と同質的であるかぎり、このようなビジネスパーソンを確保できる可能性があるということにすぎません。
もし、このような優秀なビジネスパーソンが、日本企業の本社の面接を受けたとして、本社の面接や企業説明会での日本人の英会話が、日本語なまりのあるジャパニーズイングリッシュで、意味がわからなかったら、失望こそすれ、当該会社に自分の未来を感じることは、決してありあません。
このような状況であれば、優秀な人材を確保するというメリットは砂上の楼閣となります。
現状の言語政策としての日本の教育制度を前提にすると、ネイティブの先生と英会話を学び、英語の発音を身につけるという、カリキュラムは、小学校過程で、暫定的に採用されているに過ぎません。時間数も少なく、正確な発音をこの時点で、マスターすることは、不可能です。平成30年からの新指導要領にも期待できるだけの、カリキュラム時間数も盛り込まれてはいません。
脳神経学からは、英語固有の子音を正確に聞き取るための神経回路を開設するには、9歳がラストチャンスといわれています。日本の子供たちは、十分な子音を聞くことがないまま、9歳以上の年齢となります。
ということは、社内公用語を英語化したとしても、未来にわたり、発音に関しては、日本語なまりのあるジャパニーズイングリッシュしか話すことができない日本人が多いということを意味します。
英米人やシンガポールのように英語を第二公用語とする国の国民は、日本人の話す英語を、英語として理解できないほど、我々のなまりは酷いそうです。
そうだとすると、優秀な人材がそういう英語を話す日本人のいる本社に共感を覚えることもないですし、優秀な人材を確保できるというというのは、幻影にすぎません。
進出する海外市場において、生活様式や価値観を共有できるというウソ?
社内公用語を英語化することによって、進出する海外市場において、そこに住む住民の生活様式や価値観を共有できるか?は全く関係のない事柄です。進出先の海外市場が、英語を国の公用語として、認めていたとしても、母国語は英語と異なる言語だったりします。
たとえば、シンガポールでは、国語がマレー語で、国の公用語が英語や中国語に認定されています。もともとがマレー人が多かったのが原因です。 英語を国の公用語として、設定しているからといって、英語が母国語であるとは、かぎりません!生活様式や価値観は公用語よりも、むしろ母国語と密接な関係があります。同じくシンガポール人でも華人もいれば、マレー人もいるし、インドネシア人もいて、それぞれが母国語を有しているのです。
国の公用語である英語で、すべてのシンガポール人の生活様式や価値観が、共有できるというのは、感覚的な捉え方といえます。
経営判断が迅速になるというウソ?
社内公用語英語化によって、経営判断はむしろ遅くなり、迅速化するというのは、希望的憶測にすぎません。
企業の経営判断は、取締役会や株主総会などの合議体によって、決定されます。英語が企業の中で公用語とされるのは、このような企業の公の側面において、英語を言語として、使用することを意味します。
英語が曖昧な表現を避けて、時制や数量もふくめて、定量的判断に馴染みやすい言語であることは、疑いないです。こういう言語を使いこなせるなら、経営的判断のスピードは速まるでしょう!ただ、合議体のメンバーである構成員である日本の取締役らが、会議の場で、外国人取締役に、意味の通じる英語を話せる可能性はほとんどありません。それほど、日本の現段階における英語の会話能力はお話にならないのです。
もっとも、文書による持ち回り決議なら、発音しなくて済むから、ライティング力と読解力に得意な日本人取締役でも大丈夫だとする見解もあります。持ち回り決議が、会社法上、有効だと考えても(議論しない決議方式なので、有効性が問われています。)書面を持ちまわる決議スタイルのため、時間がかかりすぎて、迅速な経営判断とはむしろ逆の結果を生みかねません。
公開日:
最終更新日:2017/06/04