社員食堂や休み時間でも英語を話さなければならない?

      2018/02/12

社員食堂や休み時間でも英語を話すことがルール化されることは、社内公用語英語化とは関係がありません。この点、社内公用語英語化と関連して、論じられることが、多く見受けられます。

社内公用語英語化の定義が理解されないまま、論じられ、混乱の元となっているのは、残念なことです。社内公用語英語化とは、会社内部のグループで、複数の言語を使用するそれそれの社員がいる場合、公的な会議とか、文書について、英語を使用言語とするという意味です。

社員食堂とか、お昼休みの時間は、公的な時間ではないため、そもそも公用語を使う場面ではないのです。英語が、公用語として使われるのは、会社のオフィシャルな会議とか、会議のアジェンダを記録した文書とか、公的な会社の活動の場面に限られます。

公用語を使う場面での英語力を鍛えるために、このような公的場面以外の会話について、英語を強制することもあり得ます。ただ英語以外の言語で、休み時間に話すことに対して、社員に罰則を設けたりするのは、公序良俗違反となります。このような社員規則そのものが、民法90条に反して、無効です。

実質的にも、社員食堂や休憩時間に、日本人同士で、日本語でコミュニケーションを取ることは、お互いの立場を察しながら、信頼関係を築くものです。会社側としては、このような強制的な契機のある規則に対しては、慎重な対応を図るべきです。

朝会などで、オールイングリッシュでミーティング

朝礼や朝会などで、オールイングリッシュの会議やミーティングを行うことによって、社員の英語力を高めようとする試みも実際に行われています。このような試みも、社員公用語英語化とは、似ているようで、次元の異なるお話です。

朝礼や朝会というものの性格にもよりますが、会社の公的な会議というよりも、業務性のある勉強会に近い性格といった位置づけが、正しいと言えます。業務性があるが故に、昼休みや社員食堂での、英語の強制とは異なります。このような会議への出席要請そのものは、適法といえます。ただし会議での発言が少ないとか、その他の英語使用能力によって、役職を解くとかの具体的人事処分が行われた場合には、処分そのもが、民法90条の公序良俗違反になる可能性が高いです。

英語を使った会議への、社員の参加を呼びかけは、会議を使用した個々の社員への英語力の強化の一つの手段かもしれません。ただ業務の効率性を害してまで、強制することは、企業にとっても得策ではありません。会議の案件を選定して、運用するのが、一般的なようです。そしてこのような運用であれば、法令違反の可能性も低いというべきです。

 

 

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